取り敢えず、この二日間でクリスマス企画の原案を回収するまでには至ったんだが、
「ったく、どいつもこいつも使えねぇな。どうやったらこんなショボい案が出るんだっての」
まず、一年の装飾案。これは明らかに手を抜いてある。赤と緑と金と銀の色鉛筆で線が引いてあるだけだなんて小学生でもできる。まぁ、キラキラした紐っぽい飾りはあるが、これは酷すぎるだろ。
で、二年の進行企画。これは奴らが悪戯をするためだけにできている。有理が沙理菜を信用してるから任せたんだが、やはりあのコンビが企画を作ったか。
「恭介、お疲れ様。何か飲み物でもって入れましょうか?」
唯一の救いは有理が秘書みたいに働いてくれることだな。ま、腹黒くて容赦ないから困るんだが。
「あぁ、頼む」
ふと時計を見ればもう三時間近く生徒会室にこもってるみたいだ。そう言えば今日はテスト返しだかなんだかの日だな…… だから他の役員はいないのか。
「恭介、はい」
「嫌みか?」
渡されたのはお湯が入ったカップとココアの粉とスプーン。ココアの粉をそのまま渡すって嫌み以外の何物でもないだろ。
「私も仕事があるのよ。貴方みたいに三時間も書類とにらめっこ出来るほど暇ではないわ」
「わかった、わかった…… ありがとう。後一時間でこの書類終わらせるから待っててくれ」
そう言うと有理は「絶対よ」と腹黒い笑みを残して去っていった。ったく、寿命が縮むってんだ。
で、まずは装飾原案か。さっきウチの学校の備品を見たら結構色々な物が置いてあった。七夕で代用した星飾りとか、文化祭のあまりの風船とか。その横にあった大量のモデルガンなんて俺は見てない…… ああ、見てないことにする。
「ざっとこんな感じかぁ」
こう書類とにらめっこしていると自然と独り言がでてくる。危ない奴だな、俺。
「やっほーって恭介!?」
「なんで驚くんだよ、美緒」
生徒会長が生徒会室にいるのは当たり前だろ。しかも“やっほー”って明らかに人がいることを意識してるはずだろう。
「ダイジョウブー?疲れてるみたいだよ」
コイツには空気を読むっていう技術はないのか。いや、コイツに高等な技術を期待した俺が馬鹿なのか。
「大丈夫じゃねぇよ。見ろ、この書類の適当加減を」
「んー? ……あはは、怜君達と翔君達か!!駄目だよ、あの子達に任せちゃー」
いや、笑うな美緒。笑い事じゃないんだ。
「お陰で後一時間で有理の所に持って行かなきゃならねぇってのに……」
「だったらいっそ、この案でいいじゃん。その場で臨機応変にやれば」
そう言う問題じゃないんだが、どの言葉を用いればうまくこいつに伝わるだろうか。
そんな事を考えていたら俺はある大切なことを思い出した。
「そう言えばお前、パーティーの食事の件はどうなってんだ?」
「ああ、忘れてた。その資料を渡しに来たんだっけ?」
そういう大事なことは忘れるな。そう思ったが口に出さずに資料を受け取る。美緒だから大丈夫だとは思うが……
「ってなんだコレ!!」
「ん?あたしのお勧めの詰め合わせだよ」
資料を見る限り菓子、菓子、菓子…… 明らかに食事じゃないだろ、これは。
仕方ない、全て一から仕切り直しだ。
About ship!
(船を新たな針路に向けよ――船長は勿論俺だっ!)
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Profile:KYOUSUKE ASAI
・浅井恭介(アサイキョウスケ)
・3年A組2番 生徒会会長
・4月17日生まれ、B型
・クレー射撃日本代表、何故か人気が高いため生徒会入り
・俺様な生徒会長兼生徒会のトラブルメーカー。突拍子も無い言動と無駄な行動力を持ち合わせている

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