「はぁ…… はぁ……」
肩で大きく息をし、呼吸を整える。水龍刀を持っている右腕をだらりと垂らし、その場に膝を着く。目の前にあるつい先程まで生の盛りを歩んでいた肉の塊は生の源を断ち切られ、徐々に灰となっていく。
「はぁ…… はぁ……」
未だに止まらない身体の震えに、水龍刀を放し、身体を抱える。慣れねばならない。慣れたくはない。相反する気持ちが私の心を支配する。地面に出来た血の海、身体に付いた返り血、全てが嫌になる。
「まだ……慣れねェ、か」
いつの間にか私の横に立っていた熨斗目が小さく呟いた。私の手足として動いてくれている彼の顔、身体にも赤黒い模様が描かれている。
「慣れるわけ……ないじゃない……」
浴びた血を流してくれるかの様に降り出した雨の中、掠れた声を絞り出す。
一色の家に生まれた私にとって、これは避けることの出来ぬ宿命。水龍刀熨斗目と出会った私の運命。頭では理解していても心が、身体が、それを受け入れることを拒んでいる。
「もう嫌だよ……」
段々強くなる雨の中、私の目から一粒、また一粒と大粒の雫が落ちる。熨斗目は温かさのないその腕で私の身体を包み込んだ。
「大丈夫だから。」
この降り続く空の涙の中私を救ってくれたのは彼の一言だった。
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前ブログにもupした、茜が妖魔退治を始めたころのお話
妖魔は人を襲う悪い何かです
それにしても茜は責任感が強い
そして熨斗目は返り血が付いたままで良いのか?

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熨斗目が異様に大人っぽく見えまする