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Salute!

素晴らしきこの世界に乾杯(サルーテ)!

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[生徒会]アルバムの一頁

 只今十二時十五分。静かな午後の光を浴びながら、俺と晴輝は生徒会室へ向かって歩いている。特別教室しかない学校の最上階は昼休みとなると人気がなくなる。時折聞こえてくるのは研究室で授業の準備をする音くらいだ。
「昼休みなのに静かだよなー」
 間延びした晴輝の声が廊下に響いた。俺は「嗚呼」と短く答えると、生徒会室の扉を開けた。
「失礼し……って、浅井先輩?!」
 誰もいないと思った扉の向こうには見慣れた顔がこちらを睨んでいる。
「会長が生徒会室にいちゃ悪いか?」
 どうやら随分とご機嫌斜めの様だ。辺りを見回せば成る程、膨大な紙が束になって無造作に置かれている。これだけの量を一人でこなすとなりゃ、誰でも機嫌は悪くなるだろう。
「すげー、そんなに大量な仕事残してたんすか?」
 暢気な晴輝の声が室内に響くと同時に浅井先輩の眉がぴくりと動く。
「馬鹿か、お前は。これはだな、今朝有理から押し付けられたんだよ」
 全くアイツは……とぼやきながらも資料に目を通す速さは変わらない。流石生徒会長と言ったところか。言ったら調子に乗るから絶対言わないけど。
「ところで、お前らは何しに来たんだよ」
「晴輝の忘れ物を取りに来たんです」
 近くにあった椅子に適度に腰掛けながら置き忘れたと言う商売道具を探す晴輝から視線を外す。すると一冊のアルバムが机の上に乗ってるのに気付いた。晴れ渡った空のような色に俺はそっと手を伸ばす。
「これ、何のアルバムですか?」
 手元に引き寄せたそれを手に取りながらパラパラとページを捲ってみた。見知らぬ人の中に見知った顔がちらほら写ってる。
「へぇ、浅井先輩に……有理先輩、美緒ちゃんもいるじゃん!」
 探し物を終えいつの間にか背後に来ていた晴輝が、俺の手元を覗いて言った。今よりも幾分若く感じるのは気のせいだろうか。
「それか。昨日部屋を片付けてたらタンスの中から出てきたんだ」
 一段落ついたのか、浅井先輩が俺の隣に座る。タンスの中から何でアルバムが出てくるのか気になるが、聞かないでおこう。
「俺と有理は一年からずっと生徒会役員で、美緒と亮太は二年から。筧と西園寺も同じ頃に役員になって、最後に沙理菜が入ったんだったな」
 アルバムの最初から一頁一頁を丁寧に捲りながら、浅井先輩は頬を緩めた。真面目に会議する姿や、イベント事の写真、はたまた日常の一コマまで。先輩方の築いて来た記憶の断片が、空色のアルバムの中にしまってある。
 浅井先輩は最後の写真まで来ると頁を捲る手を止めた。その写真の後ろは、まだ使われていない頁だ。
「ここから先はお前らとの写真が入るんだ。お前らとの思い出がな」
 そう言って、浅井先輩はにやりと口角を上げた。どうやら、これからの俺の学校生活は期待して良いものらしい。
 遠くで休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。

******************************
我が妹君からのお題「タンスの中から出てきた」を消化しました。
このお題を聞いたとき、真っ先に思い付いたのが『浅井のタンスなら変なものが出てくる!』でした。

最初はギャグにするつもりが何故かこんな話になりました。

なんと言うか、浅井も可愛いところがあるんです。

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佐伯悠織
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学生さん
自己紹介:
法律家を目指す学生
癖が強く変わり者で、自他共に認めるフェミニスト
でも老若男女問わず、人間大好きです
序に、世話好き・甘やかしたがり

趣味は小説を書くことと放浪という名の旅行
酒ならビールと蒸留酒が好き
音楽はジャズを聴き、ピアノ、サックス、オルガンを嗜んでいます
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