蝉のお喋りが響き渡った夏が終わり、秋の虫達が夜な夜な合唱祭を催す季節。心地好かった風も冷たさを増し、身を切るように吹き付けてくる。青々と茂っていた木々は赤や黄に衣更えし、綺麗に着飾っている。
「ほぉ、見事なもんだな」
私の隣にいた猩々緋がそっと呟いた。珍しく結われていない彼の紅の髪は目前の紅葉(もみじ)と同じ様に秋風と戯れている。
「毎年家族でここに紅葉狩りに来てるの。だけど今年は紅葉の色付きが早いって言うから、綺麗なうちに見ておこうと思って」
先日、天気予報士が今年は紅葉の色付きが早いと言っていた。半信半疑だったが、猩々緋を誘い山に登れば既に見頃を迎えている。あたり一面の紅葉を独り占めしていると、子供じみた優越感に浸った。
「で俺を誘ったって訳か」
視線は紅葉に向けたまま、猩々緋が私に言った。
「うん。だって熨斗目や紫苑は花より団子だろうし、常磐は一人で行きそうだし、山吹先輩は興味なさそうだし」
山に一人で登るのは心細かったので誰かを誘おうと思ったのだが、生憎私の周りには紅葉狩りに誘えるような人物はいなかった――彼を除いては。
「確かに、アイツ等は誘えねぇな。だから俺に白羽の矢が立った訳か」
猩々緋は納得したように頷いた。普段の行動からは非常に想像し難いのだが、熨斗目に比べ彼には教養があるようだ。華道や茶道も人並み以上にやってのけるし、様々なことを知識として持っている。だからこの様な場所では邪魔になるどころかむしろ勉強になる。
「ま、俺は邪魔しないからゆっくり見ておいで、お嬢さん」
私は彼の言葉に背中を押されるように、ゆっくりと紅葉のアーチの中に足を踏み入れた。
たまには格好良い猩々緋……と思って挫折気味
本当に本当に変態じゃなければ良いお兄さんなのに
変態じゃなければ……
悔やまれる彼の性格
紅葉みにいきたいなぁ

PR
でもある意味だけど
じゃ、今からお兄ちゃんがんばります!