「まさか、来てくれるとは思わなかった。みんな忙しそうだったから……」
コルネーリア・リヴェラは嬉しそうにそう言うと玄関の扉を閉めた。アンリ・イチノセは部屋の暖かさにほっと息を吐くと羽織っていたコートを脱いだ。コルネーリアはそれを受け取り、ハンガーに吊す。
「今年は一人で寂しいクリスマスかなって思ってたから」
温かいコーヒーをカップに注いで客人に渡す。「Merci.」と異国の言葉で礼を言うアンリの横に座り、自分もコーヒーを啜った。
「俺もどうにか休みが取れたし、フリッツは上司に無理矢理休み取らされたんだって」
「クリスマスくらい仕事入れようとしなくてもいいのにね」
コルネーリアの呟きにアンリは「本当に」と頷く。それを見てコルネーリアは頬を緩めた。住んでいる土地も勤めている会社も違う幼なじみとゆっくり過ごすのは実に一年振りだ。話したい事は積もりに積もっているが、何から話たら良いのか分からない。言葉を探す心地良い無言の時間がゆっくりと流れている。
「ねぇ、コルネーリア。君ならバッボナアターレ(サンタクロース)に何をを願う?」
唐突な質問にコルネーリアは驚いてアンリを見た。アンリは肩を竦めて「同僚に聞かれてね」と付け加える。
「アンリはなんて答えたの?」
「俺? 俺はこんな風に大切な友人と過ごせる時間。まぁ、永遠に手に入らないと分かってて望むもの…だけどね」
クスッと笑みをこぼしてそう答えるアンリを見てコルネーリアは少し考え込んだ。プレゼントを配るバッボナターレにおもちゃや洋服をねだっていた時代が懐かしく思い出される。それもだんだん高価なものを願うようになり、いつ頃から何も願わなくなったのだろうか。
「昔はさ、」コルネーリアはそっと言葉を紡いだ。アンリは静かに頷き続きを待つ。
「おもちゃとかお洋服とか欲しがったんだろうね。もしかしたらもっと高いものが欲しかったかも」
コルネーリアはふぅと一息ついた。静寂が心地良い。黙って話を聞いているアンリにコルネーリアは少し微笑んだ。
「今は何を望んで良いか分からないな。欲しいものを聞かれたのも久し振りだし。でもね…… みんなが幸せで、私が幸せならそれ以上望むものはないかなって思うの。ほら、今みたいに……なんて、ね」
丁度良いタイミングで玄関のチャイムが来客を知らせ、友人の騒ぐ声が聞こえてきた。コルネーリアとアンリは顔を見合わせて笑うと、席を離れて玄関へ向かった。
Si spera, tutti felici
ど…どうにか今年中にUP
クリスマス企画これにて完了です
コルネーリアは「幸せ」を望みます
普通の女の子ですから、普通の幸せが欲しいそうです
なんとか間に合った…

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