素晴らしきこの世界に乾杯(サルーテ)!
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オーブンが陽気な音を立て、パイが焼きあがった事を伝える。扉をあけるとリンゴの甘い香りがキッチンを駆け巡り、優しい香りに心が躍る。リンゴは程良くやわらかくなり、生地の色もまた食欲をそそる。アンリ・ロベール・デルヴァンクールはその出来栄えに満足そうに頷くと、パイを皿の上に乗せた。リンゴの甘い香りが一層強くキッチンの中に広がっていく。
アンリはパイを机の上に置くと、冷蔵庫の中から生クリームを取り出した。机の上にはあらかじめ焼いておいたスポンジが出番を今かと待っている。そのスポンジを半分に切ると、アンリはその表面に生クリームを塗り、フルーツを中に挟んで形を整えた。きれいに飾りつけされたケーキと、上手く焼きあがったパイを見て、アンリはそっと微笑んだ。
手作りのスイーツを手に談話室へ行けば、既に準備は整いおいしそうな料理が並べられていた。アンリは手に持っていたものを机の上に置くと近くの椅子に腰かけ部屋を見回した。誰が持ってきたのか分からないが、綺麗なツリーが我が物顔で部屋の隅を占領している。
「あら、手作り?」
声のした方に顔を向ければ、大きなチキンを手にしたマリー・イサベル・ラ・フォンテーヌが立っていた。アンリはそっと頷くとゆっくりと口を開らく。
「そう。見て分かると思うけど、リンゴパイとフルーツケーキだよ」
「流石ね。今回のもおいしそうだわ」
手に持ったチキンを机に置きながらマリーは楽しそうに言った。それを見てアンリの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「これ、全部マリーの手作り?」
「いいえ。あのブッシュ・ド・ノエルは私がつくってきたけど、チキンをはじめとするご馳走はシルヴぇストルさん、ヴィクトルさんとオリヴィエくんからの差し入れ」
机の上に載せられた様々な料理を一眺めしてアンリは納得して頷いた。視線の先にはワインを飲み、食べ物をつまみながら楽しんでいる二人の老紳士の姿があった。マリーは彼の視線の先を一瞥して微笑むと、彼の隣に腰を下ろした。
「クリスマスパーティーなんて貴方も洒落た事をするわね」
差し出されたワインを受け取りながら、アンリはマリーの言葉に微笑んでみせる。彼女は自分のグラスのワインを一口含むと、横目でアンリを見る。
「どうせ、俺達はクリスマスも仕事だろ? だから前もってパーティーしようかと思ってね」
ウインクをしながら事の経緯を告げると、マリーは小さく笑って再びワインを口にした。
「ねぇ、アンリ。貴方はペール・ノエル(サンタクロース)に何を願う?」
唐突な質問にアンリは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに考え込むように視線を泳がせた。しばらくして視線をしっかりとマリーに合わせると、ゆっくりと口を開いた。
「大切な友人との時間をもらえますように、かな。欲が深いようだけど俺の宝物だから。勿論、マリーもね」
そう言ってワインを口に含んだアンリの頬は幸せそうに緩んでいた。
J'espère, je veux passer du temps avec des amis...
見事に昨日は寝てしまいました……
忘れていたわけではない…と言い訳ですね
今回のコンセプトは「サンタクロースに願うもの」です
サンタクロースに願った所でもらえないような物ばかり願う奴らですが(笑)
アンリは仲間との時間を大切にしています
普段見落としがちな何気ない時間が一番大切…なんて、カッコいい事が言えればよいのですが
明日からも頑張って更新します
執筆が間に合うかな…