「よ、拓哉」
さっさと帰りたい時にこの人に会ったのは、運があったのかないのか分からない。
「筧、先輩……」
柏木先輩に嵌められ、わざわざスーパーまで買い出しに来た俺。何だか良く分からない大量なものを買わされて、どうやって持って帰ろうか迷っていた時だった。後ろから呼び掛けられて面倒だったが振り返れば、そこには良く見知った先輩がいた。制服でない姿が見慣れない。
「何やってるんですか、こんなところで」
筧先輩の手にも大きな荷物がぶら下げられている。おそらくあれは西園寺先輩と使うものであるのは間違いないから、中身についてはなにも聞かないでおくことにする。
「まぁ、見て分かると思うが、買い物だな」
なんとなく並んで歩き始める。男の俺が言うのも変なきもするが、この人は普通にしていれば格好良い。引き締まった身体に整った顔…… 何言ってんだ、俺は。兎に角、この人は中身が残念すぎる。
筧俊樹先輩、2年C組13番在籍。生徒会裏のブレインで、変な方向に頭が良い。 ……いや、頭の良さを使う方向が違うんだ、この人の場合。趣味は達の悪い悪戯でターゲットは8割会長と副会長。普段はクールな先輩だ。普段はだが。
「拓哉、ここで待っててくれないか?取ってくるものがあるんだ」
「へーい」
別に断る理由もないし、急いで帰る必要もないので、俺は二つ返事で待つことを決めた。どうせろくなものじゃないんだろうけどな。女帝の為に働くってのも癪だし。
筧先輩は生徒会一の策士だ。あの女帝をも凌ぐのではないかと思う。別に嫌な意味ではなく、素直に凄い。ま、本人も意識していないんだと思うが。だって、あの女帝の暴走を抑えるには計算高くいくしかねぇだろ。それに、西園寺先輩や晴輝、怜まで手懐けて…… というと、人聞きの悪い気もするが。
「待たせたか?」
颯爽と現れた先輩の手には原チャリが。成る程、これだけのものを歩いて運ぶことはしないと。
「いえ、別に」
「学校行くんだろう?片方持ってやるよ。 ……どうせ、有理先輩に押しつけられたんだろ」
再び先輩と並んで歩き出す。片手が開いたため大分歩きやすい。ったく、こんなに大量に買ってどうするってんだ。
「なんか、悪態でも付きたいって顔だな」
隣を歩いていた筧先輩が笑いながら言った。だって普通に考えたら、
「暴君過ぎるだろ、柏木先輩」
「それは仕方がない。運がなかったんだな」
楽しそうに笑う筧先輩。西園寺先輩によると昔のこの人は俺以上に人と関わろうとしなかったそうだ。信じられないが。絡んだってつまらないだろう俺に話し掛けるのは、自分に似ていて放っておけないから……らしい。俺がこんなに人と話すようになったのもこの人のお陰かもしれない。だから、こういう時くらい素直に祝おうかと思う。
「そういえば先輩、誕生日おめでとうございます」
****************************
筧ハッピーバースデー!
連日のサッカーですっかりと忘れていたよ
なんとか2日で書き上げたグダグダクォリティー……
割と仲のよい二人
てか拓哉視点は難しい
筧の兄馬鹿っぷりが見て取れる(笑)
ではHappy birthday!筧俊樹
****************************
その後
「まさかお前に言われるとは思わなかったな」
「ま、たまたま覚えてたんで」
これはまっぴら嘘。今朝柏木先輩に言われて初めて知った。因みに、筧先輩に持ってもらってる袋の中身は誕生日パーティーの準備の品なんだけど。

PR