俺は今、ひたすら走っている。捕まったら負け、だからな。
一応今の状況を説明しておくと、遡ること数十分前……
「準備が一段落したわ。少し休憩しましょう」
有理先輩の一言から始まった。ここの所、準備に終われて休むどこじゃなかったから、全員で顔を合わせるなんて久しぶりだ。
「差し入れ……つうかケーキ買ってきましたよー!」
俺と筧が生徒会室に着くのと時を同じくして仕事に行っていた怜が帰ってきた。いいよな、晴輝や怜は。仕事で休んで準備をしなくていいんだから。あ、でも昨日晴輝が仕事と偽って休んでたのがバレてたな。
っと話がずれたがそのお茶菓子ってのが某有名ケーキ屋の1日100コ限定品を4ホールだったわけで(マネージャー総出で買ったらしい)。それぞれいつものメンツ――俺と浅井先輩、晴輝で一個、筧、拓哉、怜で一個、有理先輩、兄貴、美緒ちゃん、紗理奈で一個食べたのは良いが、残りが一つ。ま、取り合いになるのは当たり前って事だぃ。
「最後の一個、俺達で頂きまーす」
「何言ってんだ後輩の分際で。ここは先輩で生徒会長の俺に譲るべきだろ」
「生徒会長は関係ないけど先輩の俺等に譲るべきだろ?」
「怜が買ってきたんだから俺と晴輝と怜で食べます」
言い争っても無駄だから、俺等は一番わかりやすいゲーム――つまり、鬼ごっこで勝負をする事にした。
で、逃げてんのが俺等。鬼が筧達。ケーキを掛けた死ぬ気のバトルって事だぃ。
「えー、こちら西園寺。二階侵入成功しました」
ただ、普通の鬼ごっこじゃつまらないって事で兄貴に頼み込んで旗を各階に隠して貰った。俺等は一つでも旗を生徒会室に持ち帰れば勝ち、鬼は俺等三人を捕まえれば勝ちって事だ。
『こちら桜井。俺も一階侵入完了っす』
向こうの拓哉はパソコンを使って指示するだけだと思うから、実質三対二って事だぃ。体力勝負になれば俺等の勝ちってこと。そこまで読むなんて俺等頭良い!
『ちっ、浅井だ。筧と遭遇』
げっ、もう見つかったのかよ。ま、浅井先輩だから気にしないけどな。それに、旗の在処はだいたい予想がつくし。
俺の予想が当たってれば……
「おっ、あった、あった」
予想通り。3年A組、前から2番目の浅井先輩の机の中。兄貴が考えそうな所だぜ。
「えー、こちら西園寺ぃー。旗ゲットしたんで合流宜しく」
旗をゲットしたら全員で固まって誰かひとりがゴール出来るようにするって事。
「先輩、ナイス!」
晴輝合流。このまま生徒会室まで一気に行くぜ!
「西園寺ー、そのまま行けー!」
げっ、浅井先輩!?しかも後ろに筧がいるし。
「おー、晴輝に西園寺先輩。しかも浅井先輩に筧先輩!?」
上りきった階段の最上階には拓哉と怜が。俺等を追っかけてたのは筧だけだったのか。
「晴輝頼んだ!」
取り敢えず旗を晴輝に渡し、俺は鬼の二人を止める。肉弾戦は任せろってな。その間に晴輝がゴール……
「はぁぁぁ!?」
晴輝の叫び声。何があったんだ。
生徒会室に入れば、俺達の戦利品が跡形もなく消えていた。
「遅かったら頂いたわ。悪くなっちゃうもの」
戦争に犠牲は付き物って言うけど、有理先輩、そりゃあ無いぜ。
he sacrifice attendant on war.
(戦争に伴う犠牲が戦利品っていうのはちょっと……)
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Profile:SHOU SAIONJI
・西園寺翔(サイオンジショウ)
・2年C組19番、生徒会役員
・7月14日生まれ、B型
・柔道全国大会出場、浅井の考えなしの推薦により生徒会入り
・三大馬鹿の一人。生徒会一のトラブルメーカーで悪戯に関しては天才的。筧と悪戯コンビを組む

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