12月21日午後7時48分26秒―― 現在俺は聖ミネルヴァ学院校門前に立っている。何故って……
「全く、貴方という方は。大事な商売道具を忘れてきてどうするんですか」
マネージャーの若杉さんが言うように俺は大事な商売道具であるマジックの道具一式を見事に教室に忘れてきた。ほんと、自分でも有り得ないっつうかあっちゃならないヘマをしたぜ。
「お友達のおっしゃる通りに、十五分で戻ってきて下さいね」
「……はい」
あなたの綺麗な笑顔が恐いです。ウチの魔王――とかいったら怒られるだろうが――と何処か雰囲気が似てる。
ま、うなだれてる何てキャラじゃないから、腹を決めて校内に足を踏み入れる。そして出来るだけ静かに校舎に近寄る。何でそんな事をしなきゃならないかというと、今日、俺は委員会をサボった。つまり、有理先輩に見つかったら……考えたくもない。
「拓哉、指定の場所に着いたぜ」
『はいはい。じゃ、はじめるよ』
そして今、俺の身を守るために拓哉に協力して貰ってる。拓也にはパソコンで、生徒会が独自につけたっていう監視カメラ――俺はこのカメラが使われているところを見たことがない――の映像を見ながら俺へ指示をだしてもらう。やっぱ、持つべきモノは友達だよな。
「了ー解」
『俺の指示に従わなかったら有理先輩にあっても知らないから』
「ぜってー指示に従う」
死にたくないからな。
『まずはA階段から二階に上がって』
「A階段?」
ってどこだ?この学校の階段に名前などついているのだろうか。
『ったく…… 桜井からみて右にある階段だ』
俺は指示されたとおりに階段を上っていく。学校の階段にまで名前がついているなんて驚きだ。
『そこから南校舎……アンタからみて左に真っ直ぐ行く』
「ところで、先輩達は何処にいんの?ほんとに合わないな」
いや、拓哉の技術のお陰だろうがね。本当に凄い奴だと思う。
『アンタは喋るな。声が廊下に響く。……まあ、一応言っておけば今一階南校舎と三階北校舎にいる』
教室は三階南校舎…今はいけないって事か。にしても、夜の学校って本当に不気味だ。何かがでてきそうな雰囲気を持っている。
『桜井止まれ!そのままいくと有理先輩に会うぞ』
体中を戦慄が走る。危ない、危ない。
「どうすればいい?」
『アンタは一言も発さずに横に見える階段を登ればいい』
一言も発さずに、つまり静にって事だろ。俺、静かにって言うのが一番苦手何だよね。
そんな事を考えながら無事に三階まであがり、自分の教室にはいる。拓哉は受話器越しにのんびりと俺をせかす。アイツ、この状況を大方RPGと同じ感覚で楽しんでいるのだろう。こっちは必死だっていうのに。
『着いたらちゃっちゃと忘れ物を取ってまた電話してくれ。指示するから』
「わーったよ。じゃ、一度切るぞ」
携帯をブレザーのポケットに入れて自分の席へ向かう。確か机の横辺りに掛かってたはずなんだけど……
「……ない」
「お探しの物はコレかしら?」
……今、背後で恐ろしい声がしたよな。振り返るのが滅茶苦茶恐いんですけど……
「有理、先輩……」
「今日、委員会があると知っていましたよね?サボるということは桜井くんの仕事は終わったと考えて良いのかしら?私が見ると、まだ少しも終わってないように見えるのは気のせい?」
でたーと思わず叫びそうになった。有理先輩の手には俺の商売道具が一式抱えられている。これは当分返して貰えそうにないな……
この後有理先輩にこってり絞られた俺は予定時間を大幅にオーバーした事により若杉さんの説教もくらった。もう忘れ物は懲り懲りだ。
under cover of night
(夜の闇に隠れて侵入……不成功)
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Profile:HARUKI SAKURAI
・桜井晴輝(サクライハルキ)
・1年B組15番、生徒会役員
・12月9日生まれ、B型
・(自称)天才マジシャン、面白そうだからという理由で浅井のに直談判をし(面倒になった浅井から)入れてもらう
・お調子者のトラブルメーカー。生徒会の三大馬鹿の一人(浅井、西園寺、晴輝)楽しい事が好きで悪戯コンビと一緒にいることが多い

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