素晴らしきこの世界に乾杯(サルーテ)!
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うっすらと重たい瞼を上げると、眩しい光が瞳に飛び込んでくる。ホセ・エマヌエル・カストロは眩しさに顔を歪めた。もう一度瞼を途上としたが、許可無く隣に座る人物に遮られる。
「ほら、おはようの時間だ。ホセ」
「なんでアンタが此処にいるの」
不満を口に出しながら大きな欠伸を一つすると、気怠そうにホセは身体を起こした。彼の横に腰を降ろしているノエ・フェルナンド・カバン・スルバランはにこりと笑いながらホセの肩を叩く。
「んー、お前を起こしに。ボスが言うには俺はお前の世話係りらしいよ」
何の悪びれもなく言葉を発するノエ・フェルナンドにホセは短く溜息を吐いた。大分光に慣れた瞳を隣に居座る人物に向ければ、楽しそうに笑っている。ホセは顔をノエ・フェルナンドから反らすと大きな欠伸を零した。
「てか、俺世話係なんて頼んだ覚えないですけど」
「え、そうなの。てっきりいつも寝てばっかのホセが頼んだのかと思ってたわ」
キョトンとした顔をするノエ・フェルナンドにホセは思い切り顔を歪めた。自分の隣の人物が自分より年上だとは到底思えないと、再び溜息を吐く。
「誰がそんな面倒な事頼むか」
「…でも、お前が世話係やる訳じゃないから、面倒もなにもないんじゃないか?」
ノエ・フェルナンドの斜め上をいく返答を聞いて呆れたホセは再び身体を倒して再び瞳を閉じた。ノエ・フェルナンドの顔を見なくても、突然の行動に慌てているのがわかる。
「待て、折角起こしたんだから起きろって」
「ぐぅー」
目を閉じた儘嘘臭い寝息を立てれば、頭上の溜息が聞こえる。諦めたかと再び眠りにつこうとした瞬間、自分の背中に入ってきた手がホセの身体を起こした。ホセは驚いて手の主、ノエ・フェルナンドを見る。
「ったく、寝られたら困るでしょ。ほら、立って。行くぞ」
ノエ・フェルナンドに手を取られ無理やり立たされたホセは仕方なくその後を付いて行った。まだ完全に起きていない頭をゆっくりと起動しながら、これから会うだろう上司の事を考える。
「なぁ、ホセ。もし、サンタクロースが何でも叶えてくれる万能な人だとしたら、何が欲しい?」
突然前から話を降られ、ホセは驚いて目を見開く。相変わらずホセに背中を向けて歩き続ける質問の主は何故か楽しそうに鼻歌を歌っている。
「何それ」
「答えになってないぞ。で、何を望むんだ、お前は」
鼻歌を止め自分の肩越しにホセを見たノエ・フェルナンドは答えを催促するように「で?」と言った。ホセは溜息を吐くと面倒くさそうに口を開いた。
「自由に寝れる時間」
ノエ・フェルナンドは満足そうな表情を浮かべると、再び顔を前に向けた。
「自由に寝れる…か。自由奔放なお前らしいな」
Esperemos que, de ser libre...

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Are you ready?
「君ならヴァイナハトマン(サンタクロース)に何を願う?」
上司であるエドゥアルト・ルートヴィヒ・シュルツに突然尋ねられ、フリードリヒ・フォン・ギースベルトは驚いて報告書を書いていた手を止め、自分の机の前に立つ上司を見上げた。フリードリヒと目が合い、「休憩にしよう」と言うエドゥアルトの声と共に、目の前にコーヒーが置かれる。
「何を子供じみた事を」
「夢があると言ってもらいたいね」
コーヒーの入ったカップを手に取りフリードリヒが言い放つと、エドゥアルトは苦笑しながらそう答えた。フリードリヒは甘さのないコーヒーを一口含み、喉の奥へと流し込んだ。風味豊かな苦みが口の中いっぱいに広がり、疲れた思考回路を鮮明にしていく。ふとエドゥアルトを見上げれば、どこか遠くの此処ではない場所を見ている様にみえる。
「ボスは何か願いたい事があるんですか?」
温かいコーヒーカップを手に持ったまま、フリードリヒは目の前の上司に尋ねた。エドゥアルトは視線をフリードリヒに戻し、ニコリと微笑む。
「僕だったら、平和を望むかな。誰も悲しむ事のない世界を」
そう言ったエドゥアルトはどこか悲しげな溜息を一つ漏らし、窓の縁に腰掛けた。大きな窓から降り注いでいた柔らかな日の光は遮られ、机の上に人影を落とす。フリードリヒはコーヒーカップを机の上に置いて上司を見上げた。エドゥアルトは瞳を閉じ、自らのコーヒーを啜っている。
「俺なら、」フリードリヒは静かに口を開いた。口調こそ静かだが、その瞳には確固としたものが移っている。
「俺なら、平和ではなく仲間を望みます。共に未来へ歩んで行ける仲間を。悲しみも喜びも全部共にできる仲間が……」
エドゥアルトは苦いコーヒーを一口飲み、僅かに笑みを零して呟いた。
「君は願うまでも無い気がするけどね」
Hoffentlich,Eternal Zukunft mit Freunden...

Are you ready?

オーブンが陽気な音を立て、パイが焼きあがった事を伝える。扉をあけるとリンゴの甘い香りがキッチンを駆け巡り、優しい香りに心が躍る。リンゴは程良くやわらかくなり、生地の色もまた食欲をそそる。アンリ・ロベール・デルヴァンクールはその出来栄えに満足そうに頷くと、パイを皿の上に乗せた。リンゴの甘い香りが一層強くキッチンの中に広がっていく。
アンリはパイを机の上に置くと、冷蔵庫の中から生クリームを取り出した。机の上にはあらかじめ焼いておいたスポンジが出番を今かと待っている。そのスポンジを半分に切ると、アンリはその表面に生クリームを塗り、フルーツを中に挟んで形を整えた。きれいに飾りつけされたケーキと、上手く焼きあがったパイを見て、アンリはそっと微笑んだ。
手作りのスイーツを手に談話室へ行けば、既に準備は整いおいしそうな料理が並べられていた。アンリは手に持っていたものを机の上に置くと近くの椅子に腰かけ部屋を見回した。誰が持ってきたのか分からないが、綺麗なツリーが我が物顔で部屋の隅を占領している。
「あら、手作り?」
声のした方に顔を向ければ、大きなチキンを手にしたマリー・イサベル・ラ・フォンテーヌが立っていた。アンリはそっと頷くとゆっくりと口を開らく。
「そう。見て分かると思うけど、リンゴパイとフルーツケーキだよ」
「流石ね。今回のもおいしそうだわ」
手に持ったチキンを机に置きながらマリーは楽しそうに言った。それを見てアンリの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「これ、全部マリーの手作り?」
「いいえ。あのブッシュ・ド・ノエルは私がつくってきたけど、チキンをはじめとするご馳走はシルヴぇストルさん、ヴィクトルさんとオリヴィエくんからの差し入れ」
机の上に載せられた様々な料理を一眺めしてアンリは納得して頷いた。視線の先にはワインを飲み、食べ物をつまみながら楽しんでいる二人の老紳士の姿があった。マリーは彼の視線の先を一瞥して微笑むと、彼の隣に腰を下ろした。
「クリスマスパーティーなんて貴方も洒落た事をするわね」
差し出されたワインを受け取りながら、アンリはマリーの言葉に微笑んでみせる。彼女は自分のグラスのワインを一口含むと、横目でアンリを見る。
「どうせ、俺達はクリスマスも仕事だろ? だから前もってパーティーしようかと思ってね」
ウインクをしながら事の経緯を告げると、マリーは小さく笑って再びワインを口にした。
「ねぇ、アンリ。貴方はペール・ノエル(サンタクロース)に何を願う?」
唐突な質問にアンリは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに考え込むように視線を泳がせた。しばらくして視線をしっかりとマリーに合わせると、ゆっくりと口を開いた。
「大切な友人との時間をもらえますように、かな。欲が深いようだけど俺の宝物だから。勿論、マリーもね」
そう言ってワインを口に含んだアンリの頬は幸せそうに緩んでいた。
J'espère, je veux passer du temps avec des amis...

追記
さて、本年度もクリスマスのシーズンがやってまいりました
なので、今年もやります、クリスマス企画!
とはいっても、適当に短編上げていくだけですがね……
明日21日から随時更新!
ですが何もまだ始動してない……


「えー、何でですかぁー!」
室内にまだ声変わりしていない少年独特の高い声が響く。私は溜息を吐いて彼を見た。彼がビクッと肩を震わせたのは、私の日頃の行いの所為だろう。
聖ミネルヴァ学院一年B組所属の生徒会役員、桜井晴輝。学業と共にマジシャンとしての仕事を両立して……否、マジシャンの仕事を中心に学業をこなしていると言った方が良いかしら。日頃私を恐れているとしか考えられない行動をとる彼が私に直談判と言うから何かと思えば、
「駄目なものは駄目です」
一日で良いから副会長にさせてくれと言うなんとも滑稽なお願い。仕事が無いならまだしも、師も走るこの時期は猫の手も借りたい程の忙しさ。到底、彼に任せられるものではない。
「えー、一日だけじゃん!」
彼の前に山積みになった書類を置く。
「この季節は仕事が多いんです。ですから無理……」
「じゃあ、誕生日プレゼントに一日だけ! お願い、先輩」
ふとカレンダーを見れば、そこには確かに彼の誕生日が記されている。しかし、万が一口を滑らせでもしたら私の仕事は終わらなくなるだろう。今でさえ終わるか終わらないかの瀬戸際だと言うのに。
「さっさと仕事を終わらせなさい。只でさえクリスマスやら忘年会やら年度末会計やらで立て込んでいるのですから」
行事の好きなかれだからだろう、年末に向け積もる行事の名前を出すとうっと顔を歪める。しかし、顔を歪めただけで一向に私の前から動こうとしない。どれだけこの事に執着心を持っているのだろうか。まったく。
「わかりました。もし、貴方が仕事をきっちりと終わらせることが出来たなら、この副会長専用の椅子に座らせてあげましょう」
たったこれだけの事で顔を綻ばせて喜んでいる。本当に単純なのだから。これだけのことで仕事がはかどるのなら、安いものだ。
「椅子に座るだけですからね」
「やった! 先輩、俺頑張ってきますね」
嬉しそうに仕事に戻るかれの背中に「まぁ、誕生日ですから。おめでとう」と呟いた。
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陽輝ハピバ
陽輝は自ら誕生日アピールします、絶対
仕事が忙しかろうと、暇だろうと誕生日アピールします
で、今回はどうしても副会長の肩書きが欲しかったお子様陽輝
見事に有理様に丸め込まれています(笑)
陽輝くんは勝手に動いてくれるから書きやすくも書きにくくもあります
取り敢えず、Happy birthday!桜井陽輝
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オマケ
「何故そんなにそこにすわりたいの?」
「だって、かっこいいじゃないですか! 会長とか副会長って。だから一回なってみたかったんですよ」
本物の馬鹿というのははきっと彼の事をいうのだろう。

